事業計画書のテンプレートはネットに無数にありますが、**審査に通る計画書とそうでない計画書の差は「書式」ではなく「中身の5要素」**にあります。
この記事では、金融機関の担当者が実際に見ているポイントに沿って、5つの要素を順番に解説します。テンプレートを埋める前に、まずこの5要素の中身を固めましょう。
そもそも、なぜ事業計画書が必要なのか
創業融資では、あなたにはまだ「事業の実績」がありません。決算書の代わりに、金融機関が判断材料にできる唯一の資料が事業計画書です。つまり事業計画書は、実績ゼロのあなたの「信用」を数字で作る資料なのです。
そしてもう1つ大事な役割があります。計画書を書く過程で、自分の事業の弱点(売上の根拠の甘さ、経費の見落とし)に自分で気づけることです。融資に通るためだけでなく、開業後の経営のためにも書く価値があります。

要素1:事業の要約(1枚で伝わるか)
金融機関の担当者が最初の1分で読むのは冒頭だけです。「誰に・何を・どこで・いくらで売り、なぜ成立するのか」を冒頭1枚に凝縮してください。
例えば、こんな一文から始めます。
「○○市△△駅徒歩3分の立地で、30〜40代の共働き世帯向けに、平日夜でも受け取れる惣菜・弁当の店を開業します。半径1km圏に共働き世帯が多い一方、夜19時以降に温かい惣菜を買える店がないためです。」
「誰に・何を・どこで・なぜ」が1文に入っているのがわかると思います。ここが曖昧なままだと、後ろの数字をどれだけ作り込んでも説得力が出ません。
要素2:根拠のある売上計画
売上=客数×客単価×頻度に分解し、それぞれの数字に根拠(立地の通行量、商圏人口、同業種の平均値、FC本部の実績値)を付けます。
| 数字 | 悪い根拠 | 良い根拠 |
|---|---|---|
| 客数 | 「1日30人は来るはず」 | 「前面道路の夕方の通行量○人×立ち寄り率を保守的に○%と想定」 |
| 客単価 | 「1,000円くらい」 | 「メニュー構成から平均900円。近隣同業3店の価格帯とも整合」 |
| 頻度 | (考えていない) | 「週1回利用×商圏内ターゲット世帯数から月間延べ客数を算出」 |
ポイントは、自分で歩いて数えた数字が入っていることです。統計データの引用だけの計画書より、「平日の18〜20時に自分で通行量を3回計測した」という一次情報がある計画書のほうが、面談での説得力がまるで違います。
要素3:現実的な経費計画
- 家賃・人件費・仕入れ原価・水道光熱費・広告費
- 自分の生活費(役員報酬・事業主貸)を忘れない
- 開業初月から黒字の計画は逆に疑われます。赤字期間と、その間を耐える資金を明記する方が信頼されます
見落としやすい経費として、次のようなものもあります。
- 借入の返済額(利息だけでなく元本も資金繰りから出ていきます)
- 社会保険料・国民健康保険・国民年金
- クレジット決済の手数料
- 消耗品・修繕費などの細かい出費(月数万円は見ておく)
要素4:資金計画と調達の内訳
| 使いみち | 金額 | 調達方法 |
|---|---|---|
| 物件取得費 | 150万円 | 自己資金 |
| 内装・設備 | 250万円 | 融資 |
| 運転資金(6ヶ月) | 200万円 | 融資 |
「何にいくら使い、どこから調達するか」の対応関係が一目で分かる表が必須です。
このとき、左側(使いみち)の合計と右側(調達)の合計は必ず一致させます。当たり前のようですが、見積もりの取り忘れや運転資金の入れ忘れでズレている計画書は実際に多く、それだけで「数字の管理が甘い人」という印象になってしまいます。
自己資金の目安や業種別の必要額は開業資金はいくら必要?業種別の目安にまとめています。
要素5:返済計画とリスク対応
月々の返済額が、保守的な売上予測でも払える水準であることを示します。さらに「売上が計画の70%だった場合の対応策」まで書いてあると、面談での評価が大きく変わります。
リスク対応の書き方の例:
「売上が計画の70%にとどまった場合、広告費を月○万円追加してチラシ配布圏を広げる。3ヶ月継続しても改善しない場合は、営業時間を見直しアルバイトのシフトを週○時間削減する。」
「うまくいかなかったらどうするか」を書くのは弱気ではありません。むしろ、リスクを直視して手を打てる人だと評価される材料になります。

提出前チェックリスト
- 冒頭1枚だけ読んで、事業の全体像が伝わるか
- 売上の数字すべてに根拠(できれば一次情報)があるか
- 自分の生活費と借入返済を経費・資金繰りに入れたか
- 資金計画の「使いみち」と「調達」の合計が一致しているか
- 売上7割のシナリオでも返済できることを示したか
- 面談で計画書と矛盾なく話せるか(数字を暗記するくらい読み込む)
まとめ
事業計画書は「夢を語る資料」ではなく「数字で信頼を作る資料」です。5つの要素の中身が固まっていれば、書式はシンプルなもので十分通用します。
開業ジャパンでは、質問に答えるだけで収支シミュレーションと事業計画書のたたき台が作れる機能を開発中です。公開までは開業ガイドの他記事も参考にしてください。
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みんなの質問コーナー
この記事に寄せられそうな疑問に、マスコットがかわって聞いてみました
相談すること自体は問題ありませんが、丸投げはおすすめしません。融資の面談では計画の中身を自分の言葉で説明できるかが見られます。数字の根拠を自分で組み立てた計画書が、結果的にいちばん審査に強くなります。
「席数×回転数×客単価」のように業種に合った計算式に分解し、それぞれの数字に裏付けを持たせるのが基本です。近隣の類似店を観察した結果や勤務時代の実績など、実際に確認した事実を根拠にすると説得力が増します。
開業の動機、これまでの経験、自己資金の貯め方、売上予測の根拠などが中心です。計画書に書いた内容を自分の言葉で説明できれば大きな問題はありません。数字は暗記ではなく、根拠ごと理解しておきましょう。
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